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ニセ科学批判の善用例

  ニセ科学批判の善用の例として、人工意識の否定をあげておこう。
 「人間は機械で心=自己意識を人工的につくることができる。」という命題を目的とする脳科学者やロボット工学者がいたとしたら、それはニセ科学である。
 方法論は科学的であったとしても、命題に反証可能性もなく、またこれまでの科学的知識とは反するからである。有機体である細胞のみが心の座である脳をつくりだすわけであり、機械は脳の材質にはなり得ないからである。現状の科学では、心は生命体のみがつくりだす領域であり、人間が機械によってつくることはできない。それはこれまで科学が発見してきた自然法則に反している。内的動因で動く存在である心や生命は、永久機関と同様に機械でつくることができない。自ら動かない存在は死んでいるのと同然である。
 科学の公準に反するので、機械で心をつくることができると考えるロボット工学はマッドサイエンスであり、ニセ科学である。無論、水伝のように、水という材質から心がつくられるという理屈も否定される。
 このようにニセ科学批判を使用することで、自然のみが命や心を生み出すことができ、心の問題の本質は科学の領域外であり、科学それ自体の限界を示すことができるわけである。ニセ科学批判によって、人間の尊厳と心の神秘という形而上学や宗教の神聖な領域に科学が侵入することを防ぐことができるのである。


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by merca | 2009-03-22 08:50 | ニセ科学批判批判
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