スクールカーストは反学歴主義である。


 計量社会学者・吉川氏の指摘する学歴分断社会が統計的に実証された客観的事実だとしても、若者の価値意識は学歴重視から乖離している。それをもっとも顕著に表しているのは、学校内身分、すなわちスクールカーストである。全体社会の社会階層が学歴によって決定されるものであるにもかかわらず、スクールカーストでは学歴と直結する学力は重要視されない。
 スクールカーストでは、対人関係能力、運動能力、外見的魅力という基準によって身分差が生ずると言われ、学歴につながる学力はスクールカーストの基準ではない。学力が高くても、対人関係の苦手なガリ勉秀才は身分が低い。話が面白くスポーツができるヤンキーの方が、ガリ勉秀才よりも学校内身分は高いのである。しかし、全体社会の中では、ガリ勉秀才の大卒の親の方がヤンキーの中卒・高卒の親よりも、社会階層は上である。また、学校を卒業し、社会に出ると、大卒のガリ勉秀才がヤンキーよりも地位が上になるのである。
 スクールカーストにおいては、友人関係やスポーツやおしゃれが重要であり、学力を重視する学歴社会の価値観とは異なっているのである。スクールカーストを生きる若者は自己の人生を幸福にするのは学歴よりも友達であるという物語をもつことになるのである。

 スクールカーストの価値観を内面化した若者は、学歴を重要視せず、その結果、大学に進学しなくてもよいと考え、大学の進学率が押さえられるのである。さらにいうと、非大卒の親をもつ子が大学に進学しないということにスクールカーストは拍車をかけていると考えられるのである。
 若者の希望格差ではなく、スクールカーストへの過剰適応が大学進学への意欲を削いでいるのである。
 
 社会的現実として学歴社会であるにもかかわらず、当の学校社会における学校内身分では学歴と直結する学力が度外視されているという逆説によって、学歴社会が維持されていくという皮肉な社会現象のメカニズムの解明が急がれるのである。

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by merca | 2009-10-11 22:00 | 社会分析
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