近代社会の構成要素

 ここで、社会学の教科書とでも言える富永健一の近代化論に準拠して、近代社会の基本的構成要素を提示しておきたい。

 近代に入って社会の構成単位は家族と企業(組織)の二つに分化し,家族はゲマインシャフトとして消費を担い,企業はゲゼルシャフトとして生産を担うことになった。そして,両者の間に形成されたのが市場である。さらに家族,企業,市場などを法律でもって秩序だてる機能を負うのが国民国家となる。近代社会の全体像は,そのような構成になっており,社会システム論のいうように全てがゲゼルシャフトから構成されているわけでない。社会システム論の欠点は,原理上,ゲマインシャフトを扱えないことである。なぜなら,社会システム論は,ゲゼルシャフトの学であるからである。ゲゼルシャフトが成り立つためには,かえってゲマインシャフト集団から刻印された共同性が必要である。

 ゲゼルシャフトである組織集団がインフォーマルな自然発生した職場の仲間集団の感情的連帯によって支えられていることはよく知られている。
 機能分化として近代を観察するのではなく、その前提である家族と組織の構造分化として近代社会を観察する枠組みのほうが、観察の深度が深いのである。

  
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by merca | 2007-01-01 11:22 | 理論 | Comments(0)
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