ブロガーが世論をつくる時代

 最近の一連の厳罰化・監視化の刑事政策は、一つの凶悪犯罪の発生を契機に、マスコミによる被害者感情の報道、弁護士、学者、評論家などのコメントによって社会問題化され、治安悪化神話として世間に広まり、人々の体感治安の悪化をもたらし、その結果、政治家が国会で法案をだし、政策ができあがるという順番で推移した。 
 しかし、芹沢氏と浜井氏は、実際には、犯罪は凶悪化・増加していないのに、このように体感治安が悪化したのは、主にマスコミの報道の仕方、犯罪の語られ方に問題が有ると指摘し、科学的根拠のない治安悪化神話に基づく政府の一連の刑事政策を鋭く批判した。この指摘は科学的に正しい。

 上記・芹沢氏と浜井氏の言説は、書物ばかりではなく、治安悪化神話批判を支持するブロガーたちによって、ネットであまたの感想が書かれ、すでに「治安悪化」と入力し、グーグル検索をすると、上位のほとんどに両氏の治安悪化神話批判の記事がでてきている。それを受けて、新聞記者たちは慌てふためいたのか、両氏を支持する記事を書き出した。次の段階は、多くの人々が治安悪化は嘘だと気付き、治安悪化神話が消え去り、体感治安がよくなり、政府が動き厳罰化・監視化の刑事政策が変わるかどうかということである。もしここまで成功すれば、これは一つの新しい社会運動の形態と言っても差し支えないと考えられる。行政を動かすまでに至ったことになるからである。

 この新しい社会運動がどのように名づけられるのか非常に関心があるが、評論ブロガーの役割も大きいと感じた。ネットの登場により、ジャーナリストでなくても、アクセス権(多数の人々に情報を流すメディアにアクセスする権利)を簡単にもつことができ、世論をつくることが可能になったのである。誰もが誰もに対して、意見を発することができるのである。グーグル検索上位はすごい影響力がある。治安悪化について知りたい人たちのほとんどが、ネット検索すると、まずは治安悪化神話批判の記事に目が触れるからである。議論の創発という意味では、この時点ですでに勝利している。新聞記事にのるよりも影響力は大きいと考えられる。
 
 
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by merca | 2007-01-21 23:04 | 社会分析
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