システムと要素

  システムは、システムとその要素からなる。およそ要素のないシステムはない。システムと要素の関係は、集合論的である。
 
 ここで要素が複数の対等なシステムに属することが原理的に可能か論じたい。これが不可能か可能かによって、システム論の種類が異なってくる。別の言い方をすると、要素間の差異・個別性はシステムによってつくられたものであるのか、要素どうしの関係性に還元できるのか、要素そのものに内在するものかということである。オートポイエーシス・システムは、要素を自己産出するので、原理的に個々の要素間の差異もシステムによってつくられたものということになる。生命体システムとその細胞の関係をとってみると、細胞という要素はシステムによって産出されたものであり、個々の細胞どうしの個別性はシステムによって与えられたものである。
 ただし、臓器移植に見られるように、他の生命体システムに移植はできる。これは、細胞の個別性のなせる業である。こう考えると、個々の細胞には自律性があることになる。また、へその緒のように母体生命体システムと胎児生命体システムの二つに属する細胞もある。これは複数のシステムに属しているとも言える。
 ここで考えられることは、要素は細胞という物理的実体ではなく、その機能と置き換えたほうがいいということである。実際、人口臓器のように細胞ではなく、機械でも生命体を維持できる。人口臓器のはたらきが人体にとって、生の臓器と機能的に等価ならば、代替できる。
 機能はシステムの中で発揮されるものであり、システムの要素は、ただしくは機能である。機能は何かについての機能であり、基本的に意味であり、物理的実体を有しない。機能に準拠するならば、生物体システムも意味システムである。

 システムの要素を物理的実体として捉えた場合、要素が複数のシステムへの所属が可能であり、要素間の差異は、システムを越えている。
 システムの要素を機能として捉えた場合についても、要素が複数のシステムへの所属が可能か検討したい。
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by merca | 2007-05-05 09:00 | 理論 | Comments(0)
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