また、他ブログにコメントしました。法哲学のシステム論者のバベルさんのブログです。
http://ameblo.jp/tower-of-babel/entry-10028392579.html 道徳がいじめの原因 はじめまして 放浪のブログ・コメント屋・論宅と申します。 責任感覚つまり道徳規範を内面化することが、即いじめの防止につながるとは思えません。 むしろ道徳こそがいじめの原因である場合もあります。というよりも、臨床社会学的には、いじめは一種の道徳的行為です。いじめは個を超えて創発された集団現象=相互作用システムです。仲間集団の役割行為として遂行されます。仲間集団にとっては、いじめることは集団を維持するための道徳的行為です。集団にとって気に食わない者を差別したり、いじめることは仲間から賞賛されます。逆にいじめなかったら自分が非難されます。また、全体社会のレベルでは、道徳を内面化した善良な市民ほど、国家の方針に従い、敵を差別・排除します。現代社会でも、社会学者・芹沢一也氏が指摘するように、道徳的観点から犯罪者いじめ(排斥)が行われています。責任感覚つまり道徳規範の内面化によって、いじめはよけいにはびこるおそれがあります。 社会学者・内藤朝雄のいう中間集団全体主義に蝕まれた社会では、個々人がいくら善良であっても、いじめや差別という社会病理現象は集団・組織内で生じます。ちょうど、普段は善良な日本市民が、戦前、国家が全体主義化したとたん、朝鮮人を差別・迫害したように・・・。 そういう意味からも、いじめを個々人の内面的な道徳による責任論や心の次元で解決しようとしても無駄です。全てが善人からなる社会でも、社会の在り方が中間集団全体主義であるのなら、いじめは生じるであろうし、善良(道徳的)であればあるほど、差別をすることになるでしよう。「いじめをやめよう」というスローガンを心の教育や道徳教育として子供に伝えるだけでは意味がありません。 1人1人の心が変われば、社会も変わるという綺麗ごと=方法論は、嘘です。社会は個人の心に還元されませんから。 道徳コードに準拠した責任論も、かえって、いじめを再生産しないか心配です。むしろ集団で生じる道徳という暴力をどのように飼いならすのかが課題です。いじめの本質は、集団現象たる道徳による暴力です。
by merca
| 2007-05-15 21:09
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