コピー・システム論

 区別によってシステムは創発すると言われている。しかし,(オリジナル/コピー)という区別で創発するシステムは,そもそもあり得るのか?
三次元体の世界では,(オリジナル/コピー)は区別がつく。世界に全く同じ形と性質をしたものは存在しない。所謂,ライプニッツが唱えた同一者不可分性の原理である。仮に,あるオリジナルの物体から同じ形の物体をつくりだしたとしても,空間と時間を共有することができない。さらに,ライプニッツは,時空における位置関係が異なれば,その存在の性質も異なると考えていた。
 ところが,データベース空間では,時空間が存在しえず,1つのデータをコピーしても,元のデータと全く同一であり,区別がつかない。オリジナルデータとコピーデータは同一であり,区別は無効である。従って,(オリジナル/コピー)という区別からは,いかなるシステムも創発しえない。この場合,システムは創発するのではなく,コピー増殖するにすぎない。データの世界は,純粋イデアの世界である。実は,オリジナルとコピーの区別は,オリジナルが真理,コピーが虚偽に対応している。データベース世界では,真偽の区別すらも無効である。データベース世界は,本物と偽者の区別はないのだ。定義するならば,「偽者を本物であると見なすこと」「本物を偽物であると見なすこと」が嘘であり,「本物を本物であると見なすこと」「偽物を偽物であると見なすこと」が真理である。しかし,本物と偽者の区別がないデータベース世界では,真偽の区別もあり得ないのである。
 してみれば,社会システム論は意味境界に基づくが,意味そのものは概念である。概念の世界つまりイデア界=データペース世界では,(オリジナル/コピー)という区別は存在しない。

 
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by merca | 2007-08-17 09:50 | 理論
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