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「企業社会における組織と個人の共生」パート1

 パーソンズ社会学を勉強していたころの論文を掲載します。
 (存在論的社会観=社会構造の実体視に準拠した理論です。)

1、日本社会の特質
 組織と個人の関係は、社会的、歴史的条件によって異なってくる。欧米社会と東洋社会資本主義社会と社会主義社会、先進社会と発展途上社会をそれぞれ比較すれば、その社会構造が異なるために組織と個人の関係も異っているのである。つまり、その社会の構造−機能的特性によって組織と個人の関係は規定されるわけである。それ故、全体社会との関連で組織と個人の関係は解明され、改善化される必要があるのである。
 それでは、日本社会という全体社会(国民社会)は、いかなる構造=機能的特性をもっているのだろうか?普通、日本社会の特性は、企業(中心主義)社会だといわれている。無論、企業社会といっても、広い意味でいえば、全ての資本主義的近代産業社会は、企業社会になってしまう。もとより、近代産業社会とは、ロストウのいう経済的「離陸」を終えて、市場経済が社会関係から自立化し経済活動が他の社会的部門に多大な影響を与える社会である。そこでは市場の経済活動を担う株式会社=企業こそが重要な役割を占めるような社会になるのは当然なのである。言いかえれば、近代化産業化=市場経済中心=企業社会と言える。しかし全ての資本主義的近代産業社会が一般的に企業社会であることが自明の前提だとすれば、何故とりたてて日本社会だけが企業社会と言われなければならないのかが問題となる。つまり、欧米社会と比較して日本社会だけが企業社会と特徴づけられる理由を解明する必要がある。恐らく、この点に組織と個人の関係における日本社会特有の問題が潜んでいるに違いない。

 (随時、掲載します)
by merca | 2007-08-20 00:40 | 社会分析
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