構造構成主義によれば、研究者の関心に相関して理論が構造構成される。これを関心相関性と言う。これは、(目的/手段)という区別に対応している。
科学者の中には、科学理論そのものは価値中立であるという立場をとる方も多いが、価値中立性はあり得ない。全ての研究は、研究者の価値観に基づく目的や関心から理論構成される。学者同士の信念対立の原因は、相手の関心・目的を観察しないことからくる。価値中立性という考えは、関心相関を隠蔽することになる。関心相関を隠蔽し、価値中立だから私の理論は正しいと主張することが、信念対立の大きな原因であるとすら言える。
疑似科学批判の目的を問うのも、上のような脈略からでもある。ニセ科学が蔓延る社会が許せないという道徳意識からかもしれない。あるいは、短絡的に一つの知識を信じ込んでしまう大衆が許せないという価値観かもしれない。色々と考えることはできるが、個々によって異なると考えられる。批判の目的を明かすことは、攻撃対象や大衆を説得するためには有効だと思われる。