「科学的って何だ!」書評

 やはりさっそく購入して見た。
  松井孝典と南伸坊の対談からなる「科学的って何だ!」という新書。
  正しくニセ科学批判の潮流をなす書物である。

 科学者である松井氏は、(わかる/わからない)を自然科学の受容コードとして示し、(納得する/納得しない)あるいは(信じる/信じない)を社会=人間圏の受容コードとして示した。
 自然科学と社会=人間圏を厳格に区別する松井氏の二元論は、私が再三論じてきた(物理的リアリティ/社会的リアリティ)そのものに対応している。この区別を混同することろに間違いが生ずると考えている。
 
 科学の根拠を「外界を脳内に投影する時の共通のルール」に求める。これはカントの純粋悟性概念の考え方と同型である。ちなみに、カントの(純粋理性/実践理性)という区別も、松井氏の(自然/人間圏)という区別と同型である。

 「外界を脳内に投影する時の共通のルール」は、構造構成主義が科学の根拠として不十分だとした「外部対象の同一性と認識構造の同一性」と同じである。

 また、「外界を脳内に投影する時の共通のルール」は、時代や社会によって異なり、つくられたものである。ものの認識の仕方は社会によってつくられるという考えは、社会学では常識になっている。しかし、「外界を脳内に投影する時の共通のルール」が異文化社会の成員にも伝達可能であることで、松井氏の説は成立つと考えられる。文化伝播説である。科学という西洋社会でつくられた認識形式は、近代化による文化伝播によって東洋人の脳内にも共有されたことになる。

 全般的に分かりやすい本であり、特に脳科学はメタ科学であると思ってしまった。

 
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by merca | 2007-09-07 23:36 | 社会分析 | Comments(0)
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