主観/客観、交換可能性/交換不可能性

 (主観/客観)の考察
 主観とは、個人独自のものの見方をいう。客観とは、多くの人々に共通するものの見方を言う。(主観/客観)も人間の認識様式のことをさす。客観は対象のことをさすのではない。(認識主体/認識対象)という区別とは次元を異にする。
 (交換可能性/交換不可能性)の考察
 交換可能性とは、自他の視点の交換可能性という意味であり、他者と同じ視点に立てば、同じように対象を認識・体験できるという意味である。交換不可能性とは、自他の視点の交換不可能性という意味であり、他者と同じ視点に立つことができず、同じように対象を認識・体験できないことをいう。この意味において、主観は交換不可能性に対応し、客観は交換可能性に対応している。

 (共有可能性/共有不可能性)
 交換可能性は、共有可能性に置き換えることもできる。つまり、他者と同じ概念を共有することで対象を同じように認識することをいう。これを共同主観と言い、共通の認識様式と価値規範を共有することで社会共同体が成立つという理論は、古典的な社会学ではよく見受けられる。
 ちなみに、ルーマン社会学では、同一の認識様式や価値規範を共有していなくても、コミュニケーションや社会は成立つことを証明しようとした。共同主観無用論である。また、他者論者である柄谷行人などには、共同主観論は独我論の一種と考えられている。ポストモダン理論では、社会秩序の根拠を共有におかない理論が多い。ハーバーマスですら、共有ではなく、合意に重点を置く。

 科学理論の正当性・真理性が概念や手続きの共有に基づいているのなら、些か古典的な哲学(カント哲学)に準拠していることになり、その点が攻撃を受けやすい。共有に頼らずに、社会現象や社会現象の一種である科学的知識の正当性・真理性を記述する方法が求められている。

 ちなみに、脳科学は、人間の脳がほぼ同一の認識構造をもつことを実証し、科学の真理性を担保しようとする。一種の共有主義である。社会によってつくられた認識構造とそうでない認識構造をどのように区別するか、これが今後の課題である。

 
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by merca | 2007-09-09 09:50 | 理論 | Trackback(3) | Comments(0)
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