質的調査と統計調査


 社会学の方法は、社会調査法と呼ばれる。しかし、社会調査法イコール統計調査と勘違いしている人もいる。実は、社会調査法には、参与観察者法やインタビュー法等の質的調査も含まれる。サンプル数は少ないが、先行研究を参考にして、典型的事例をとりあげて面接・聞取り調査をする。ラベリング論で有名なベッカーなども、この質的調査を行い、理論構築した。質的調査は、臨床の世界とも近い。調査対象に直接的にアプローチできる点が利点である。
 実は、アンケート用紙による統計調査を企画する場合、質問項目の設定などは、先行研究や質的調査の結果を参考にして作成される。

 情報源たる調査対象に直接的に関わり、内面を調査するのは、質的調査の役割である。その知見を一般化しうるかどうかを、母集団から抽出された標本集団に対して質問紙をつくって統計調査(計量調査)を実施して検証する。

 質的調査は、対象に直接的に接する一次的情報であるのに対して、統計調査は数学によって加工を施された二次的情報である。直接的なリアリティは質的調査によって暴かれるのであり、統計調査は知見の一般化を目指す手段となる。
 ちなみに、統計調査の擬似相関関係問題などは、質的調査の知見で暴露されることが多い。

 先行研究による統計資料だけから、一つの仮説を構築するような議論がネットでは見受けられるが、実際に調査対象に接することなしには、事実はわからないのである。調査対象から直接に面接調査することなしに、ひきこもり・ニート・いじめ・非行・貧困などを論じても、事実かどうかはわからない。当事者を調査しなければ本当のことはわからないのである。
 
[PR]
by merca | 2007-09-30 13:35 | 理論
<< 認識とレッテルの相違 ニセ社会学批判 >>