反証主義=絶対主義


 反証主義だけに基づくニセ科学批判・疑似科学批判はお粗末であり、複数の基準に基づくニセ科学批判・疑似科学批判は優れている。しかし、複数の公準があっても、やはり反証主義は科学の公準から欠かせない必要条件ではないかと思う。なぜなら、反証主義こそが科学という知のシステムの形式的構造をもっともよくあらわしているからである。

 反証主義は、到達不可能な仮想の到達点=絶対的真理を前提に組み立てられた知の運動である。個々の命題は常に相対的であり、いつでも反証される可能性をもつ。それは到達不可能である仮想された絶対的真理という観念を前提としている。かえって科学という知は到達不可能な仮想された絶対的真理という観念無しに成立たない。絶対的真理には永久に到達しないが、永久に到達しないが故に、永久に科学という知は検証・反証され、進化していく。これは、哲学的には、否定神学的な弁証法の一種である。科学という知のシステムは、このような絶対と相対の弁証法として運動しているのである。そして、その弁証法を支える隠された基準は、実験、つまり自然からのレスポンスである。反証は、実験によって可能になるからである。人智を越えた不動の自然という観念が、科学という弁証法を作動させるファルコマンなのである。

 このように、科学という知のシステムは、相対主義の隠れ蓑をきた絶対主義なのである。

 
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by merca | 2008-01-20 10:41 | 理論
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