三つの秩序


 自然界(物理世界)は、必然の世界であり、不動の因果法則によって貫かれている。因果法則を知ることが自然界の秩序を把握することになる。自然科学という知が有効な世界である。(自然界の不動の秩序の美しさに神を感じる科学者もいる。)

 生物界(生命世界)は、環境に適合したかたちで進化発展した遺伝子(あるいは本能)によって決まる世界である。遺伝子の構造を知ることが生物界の秩序を知ることである。生命科学という知が有効な世界である。

 人間界(人間社会)は、自由意思(目的意思、理性)に従い、環境を支配するかたちで変化してきた世界=社会である。目的意思やその関係を知ることが人間界の秩序を知ることである。社会科学(特に社会学)という知が有効な世界である。

 宇宙は、三つの世界として観察できる。それぞれの世界は特有の秩序によって保たれている。具体的な人間(パーソンズのいう人間の条件)は、この三つの世界に所属しており、それぞれの秩序によって生かされている。

 なお、形而上学あるいは哲学は、この三つの科学の基底にある根本原理を追求し、統合する学問である。

   参考
 また、ニセ科学問題を取り沙汰するのもうんざりしてきたが、医学は生物界を対象としている。自然界のような不動の因果法則が通用しない世界であり、その知識も変化し、蓋然的なものとなる。さらに、精神医学となると、人間の精神を対象とするわけあり、人間界の現象となるので、直線的な因果法則は全く成立たない。ポパーは、精神医学を科学足り得ないと批判した。しかし、私からすると、それは観察対象の特性を無視して、自然科学モデルを中心においた偏見としかうつらない。
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by merca | 2008-02-03 19:21 | 理論
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