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スピリチュアルペインによるうつ症状に薬は効かない。

 スピリチュアルペインという痛みが存在し、それを治癒するための学会までもある。医師日野原重明氏が理事長をする日本スピリチュアルケア学会である。
 スピリチュアルペインとは、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛ではなく、それらを超えた霊的苦痛のことを意味する。具体的には、不治の病や死期を迎えつつある時に感じる、自己の存在価値の消失に伴う苦痛のことである。また、愛する人の死に際する遺族の喪失感もスピリチュアルペインに含まれる。殺人事件の被害者遺族を襲う苦痛は、精神的苦痛ではなく、スピリチュアルペインである。
 スピリチュアルケアの第一人者である村田氏によれば、スピリチュアルペインは、カウンセリングや薬では治癒せず、傾聴等による気づきによって治癒するという。
 スピリチュアルペインは、うつ病の際にも、発現することがある。うつ病患者は、生きる意味がわからない、自分には価値がないという思いに苛まれ、苦痛を感じる。うつ病患者のこのようなスピリチュアルペインは薬やカウンセリングでは治癒しないのに、精神科医は投薬治療で治そうとする。自己肯定感の喪失によってうつ症状が出ている人に対して、投薬治療をし、薬漬けにする医師は最悪である。
 
 スピリチュアルペインによる苦痛は、薬やカウンセリングのような科学的処方箋ではなく、傾聴することや宗教や哲学による気づきによって治癒されると考えられている。私見であるが、音楽等の芸術を通しても、気づきにつながれば、治癒するかもしれない。例えば、パッヘルベルのカノンを聞くとスピリチュアルペインが和らぐのである。手塚治虫の火の鳥で治癒する人もいるかもしれない。魂に響く芸術もスピリチュアルペンインの一つの処方箋となる。
 
 スピリチュアルペインの正体について、システム論社会学から分析すると、生物体システム、心理システム、社会システムのどれにも還元されないシステムを想定するしかない。社会学では、唯一、パーソンズの想定したテリックシステムがそれに該当すると考えられる。ライプニッツのモナド論、スピノザの無限、仏教の事事無碍法界の思想、レヴィナスの他者論なども魂の次元の論理である。
 
 ともあれ、脳の機能障害に還元できない苦痛によるうつ症状を脳の機能障害と勘違いし、投薬治療する精神科医ほど罪な存在はない。スピリチュアルペインによるうつ症状は、抗うつ剤よりも、哲学、宗教、あるいは神曲であるパッヘルベルのカノンのほうが効くのである。
 スピリチュアルペインは、科学の対象ではなく、形而上学の対象であり、医学等の科学的処方箋は通用しないのである。医者たちは、医学の外で苦しむ者を医学で救おうとする愚者となっていないか自問する必要がある。かのブラックジャックにもこのテーマはよくでてくる。
 
 さて、魂の次元の痛みを対象とするスピリチュアルケア学会は、トンデモやカルトだろうか? おそらく、ニセ科学批判者は、トンデモやカルトと見なさないだろう。なぜなら、新興宗教ではなく、排他性のない既存宗教の信頼できる人たちが唱えているから、そうは見なさないだろう。同じことでも新興宗教が主催しているとトンデモやカルトと見なすのがニセ科学批判クラスタの選定基準だからである。
 
 ともあれ、魂の痛みを心身の痛みと勘違いし、痛みの原因を脳の機能障害と断定する医者こそニセ科学の人となるのである。全国自死遺族連絡会の調査で自殺者の7割が精神科を受診していたという事実もあるが、自殺願望や希死念虜というスピリチュアルペインを脳機能の障害と勘違いし、投薬治療を行った精神科医の罪は大きいと言わざるを得ない。時代は、医者自らが非科学であるスピリチュアルケアを重視する方向に進みつつある。

  参考記事
  鬱病の苦悩
  http://mercamun.exblog.jp/8140415/
 
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by merca | 2013-04-21 21:58 | ニセ科学批判批判