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科学は「真理の近似説」に基づく。

 「科学は自然の近似である」という科学観の主張をしたために、ニセ科学批判者の標的になった方がおられるので、少しこの命題について考察してみたい。(自然とは自然科学の対象である。)
 
 この命題が真理の対応説と関係しているのは、明らかである。近似という考えは、科学におけるサンプリング調査と関係してくる。母集団の全てを調査することはできないから、母集団から抽出してきた標本集団を調査し、母集団のあり方を類推することになる。この場合、標本集団は母集団と完全に一致=対応していると断定するのではなく、科学ではあくまでも近似値をとるしか言えない。
 しかし、標本集団を大きくすることで、限りなく母集団に近似していくと考えられるわけである。近似の先には、一致=対応という究極目標があるが、現実には全てを調べることは不可能なので、一致=対応ではなく、近似という言葉を使う訳である。
 
 科学は、一般に「全ての何々は何々である。」という全称命題を追求し、母集団との一致=対応を目標とするわけであるが、この全てがくせ者で調査できないので、部分調査で満足し、一致=対応ではなく、近似という言葉を使用するわけである。
 厳密には、科学は「真理の近似説」をとるが、このように近似説は対応説の一種なのであり、「科学(的知識)は自然の近似であるという」のは、間違いではない。

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by merca | 2009-05-10 15:39 | ニセ科学批判批判
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