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規範主義パラダイム

論宅のコメントです。
 治安悪化が道徳の崩壊に基づくという前提を相対化しました。
 http://ameblo.jp/hiromiyasuhara/entry-10023779008.html
 
実は、治安悪化と道徳を結合させる思考形態は、社会学でも一般的でした。
 社会秩序を保っているのは、究極的には、人々が共有している共通の価値規範であるという理論です。これは、規範主義パラダイムと呼ばれており、パーソンズ社会学にその典型を見て取ることができます。道徳=価値規範=良心などによって、全ての社会現象を説明しようとします。犯罪も、貧困とか社会階層や生活環境に原因を求めるのではなく、規範意識の問題に還元しようとします。
 最近の社会学では、人々が共有する価値・規範によって社会秩序が保たれているとする規範主義パラダイムは、否定されています。
 何ら共有の価値・規範がなくても社会は回るとする説が出てきました。ルーマンの社会システム論がそれです。また、宮台の権力の予期理論もその系譜に属します。
 道徳オヤジにも、全ての社会問題を価値規範(善/悪)から観察しようとする傾向が認められます。社会学者・北田暁大によると、(善/悪)コードは、形式的には、状況=社会的文脈を超越して、どんな問題や現象でも観察できる特殊なコードであると分析されています。床屋談義のコードですね。善悪・好嫌・損得などの価値コードの一般的特徴です。
 「道徳の崩壊→社会秩序崩壊・治安悪化」という過った現状認識に基づき、価値コードで観察しているところが滑稽ですね。
by merca | 2007-01-20 07:14 | 他ブログコメント
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