ルーマンのシステム論には一つの欠点がある。連続性あるいは連続的変化を扱うことができないことである。一切の存在は絶えまなく変化し続けているが、その変化は連続的である。空間移動も形状変化も意識の持続もそうである。流れる川のごとく一切は常に変化している。仏教では所業無常と呼ばれる真理である。
もともとシステム論は区別の論理であり、連続性を許容しない。世界の連続性を区別によって裁断したとしても、裁断しきれず、かならず規定され得ない部分が残り、世界の未規定性は克服され得ない。 絶えまなく運動する存在としてシステムを捉えなおす必要がある。実は、自己言及のパラドックスは運動する存在には起こり得ず、それ故、また再参入する必要もない。パラドックスは、事物を区別することから生じる。ゼノンのパラドックスがその事例である。連続的に変化する存在を区別して捉えることから生じるのである。 運動する存在として事物を記述する哲学的概念は少ない。コミュニケーションも一つの流れである。社会も切れ目のない流れである。一切は流れである。 流動型システム論を提唱したい。実際には、自他の境界(システムと環境の境界)は、絶えまなく連続的に流動しているのである。
by merca
| 2007-04-10 22:03
| 理論
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