田崎さんの科学観
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/SandU.htm 「普遍の構造」が自然に宿っており、それを認識することが科学であるという立場である。極めて物理的リアリティに立脚した考えである。科学の公準よりも、どちらかというと、私もこういう考えに共感できる。 一つ気になるのは、社会学は科学の敵であるというイメージである。社会学は相対主義のレッテルを貼られている。科学的真理は学者がつくったものであり、客観的真理ではないという立場である。一般にこれは社会構築主義と呼ばれるものである。 このような誤解は、社会構築主義あるいは社会構成主義のメタコードを知らないことからくる。システム論社会学者・馬場氏からの引用であるが、社会構築主義のメタコードは、(つくられたもの/つくられざるもの)という二元コードからなる。 前者は社会的リアリティに対応し、後者は物理的リアリティに対応する。社会学が言いたいのは、科学的真理は、どちらからの視点からも、観察できるというだけのことである。科学的手続きで社会的に正当化されたイデオロギーとして科学的真理を観察して記述することも可能であるし、一方で科学的真理の内容それ自体は、つくられざるものであるという観察も可能である。このメタ区別をはっきりとさせないことから混同や誤解や信念対立が起る。 自然科学はそれでよいと思うが、こと社会を対象とすると、普遍の構造は存在しない。社会法則のエントリーで述べたように、人々の考えや意思が変われば、社会法則も変わる。社会や文化という人間の相互作用でつくられたものに対しては、自然科学とは異なる記述の仕方が求められる。
by merca
| 2007-09-03 16:17
| 理論
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