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2007年 02月 26日 ( 1 )

内藤朝雄の生態学的設計主義

 社会学者・内藤朝雄が「いじめと現代社会」という本を出した。同著について評論を加えていきたい。
 
 まず、生態学的設計主義という社会学パラダイムを出した。実は、これは、今までの社会学になかった画期的な考えである。人々が相互作用システムを創発したとしても、それは一つでなく、複数の秩序として乱立しているというのである。それも、秩序どうしが大きな秩序に統合されているのではなく、雑多に無秩序に群雄割拠しており、マクロ社会の環境が変わると、その勢力分布図も変化するというものである。例えば、現実の社会には、共同体的秩序と市民社会的秩序が混在しており、戦前のように社会が国家主義に染まると、共同体的秩序が蔓延し、また逆に戦後のように社会が民主主義的になると、市民社会的秩序が蔓延する。内藤氏は、マクロ社会環境をコントロールすることで、この生態学的秩序を操作し、異なる価値観をもつ人々が共存できるリベラルな社会の構築を目指している。いじめという人権侵害現象は、中間集団が全体主義化したマクロ社会環境で生じやすいと考えられている。職場組織に発生するインフォーマル集団の研究に近いものがあるが、秩序が複数あるという視点は本当に斬新である。雑多な複数の秩序によって社会がたちあらわれてくるというのがポイントである。

 そこで、この内藤氏の考えに、見田社会学の社会の4類型論を接合すると、一つの理論ができ、面白い。現実の社会には、共同体、連合体、交響体、集列体のそれぞれの秩序が、生態学的に混在しており、マクロ社会環境の変化によって、どの秩序が強い社会になるか決まるという理論をつくることができるのである。例えば、いじめは、共同体的秩序で発生しやすいので、なるだけそれを統制するマクロ社会環境をつくればよいのである。
by merca | 2007-02-26 01:46 | Trackback | Comments(2)